MRIに初めて入ったら謎のリズムが刻まれていて大変よかった

かれこれ5年くらい、座り続けると脚が痺れる現象に悩んでいる。初めて気づいたのは2021年度末、長らく電車に乗り続け、兵庫県は播磨新宮の駅に辿り着く頃だった。自分の脚が何者かによって絶え間なく突っつかれているような感覚が続き、列車の交換で長い時間停車した森宮野原駅では、荷物を置いたまま電車を飛び出した。寒い冬、裏起毛の防寒パンツなるものを履き始めた矢先のことだったので、これが原因なのだろうと推測し、帰宅して早々手放してはみたものの、その後も一定の時間以上椅子のようなものに座ると、左脚が痺れてしまう。しまいには、ゆうパケットプラスの小さな箱に押し込まれた防寒パンツに、何の罪もなかった。

椅子に座れない理由は長らく、姿勢の悪さによる呼吸の浅さと体幹の無さだったが、4.5年前からは脚の痺れが加わった。それなりにいい値段のする椅子を買ったところで、脚の痺れに改善は見られていない中、諸般の事情によりこの脚の痺れの原因の切り分けが必要になり、とうとう整形外科に行ってみることにした。

「ちょっと分からないので、MRIを撮ってみたいと思います」とお医者さんは言った。ちょっと分からないらしい。MRI撮影の実績解除という急な展開に、狭い更衣室の中で椅子に座って、脚は痺れていたが、心は躍ってしまった。


MRIは、なぜそのようなことになったか記憶にないが、以前入ったことのある酸素カプセルと同じような狭さだった。転落防止のために腰あたりで、太いベリベリしたベルトに巻かれるのだが、あの狭さでどこからどう転落するのか教えてほしい。だいたい何かが防止されているときは先駆者がいるので、きっと寝相が悪かった人がいるのだろう。

仰向けに寝かされるときも、ベルトを巻かれるときも、コードに駒込ピペットの上の部分がくっついたような装置を渡されたときも、MRIに収納されるときも、ずっと背後では謎のリズムが刻まれていた。

ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ ズンチャ

響く中低音に心だけでなく身体まで踊ってしまいそうになったが、いかんせん、あんまり動かないでくださいと腕までベルトに簀巻きにされている身。クラブにトリップしたような気持ちになったのも束の間、近所で工事が始まってしまったので、現実に引き戻される。「MRIは爆音である」という通説を信じ込み、耳栓をもらったものの、耳栓など何の戦力にもならないような轟音が降り注いでいた。

ただ、轟音ではあれど高音ではなく、記憶が正しければD3〜E4の範囲に収まる、非常に歌いやすい轟音だったので、高音で頭が痛くなるニンゲンには優しい設計だった。そんなことを考えながら、謎のリズムにノっていたら、気づいたら終わっていた。10分ほどと聞いていたのだが、本当に10分も入っていたのだろうか。


困ったことにMRIを撮っても原因が分からなかったようで、はっきりしないからまずはやってみようぜ、やってみて改善しなかったら別の原因を疑おうぜ(意訳)と言われた。人体もマーケティングもだいたい一緒なんだな(違う)。

あまりによすぎたので帰宅して調べたら、ズンチャは「ヘリウムを冷却するためのコンプレッサーの音」らしい。絶対誰かこれで曲作ってるだろと思ったけど、誰もいなかった。先駆者たちもスマホを持ってMRI室に入れなかったのだろうね。

この動画よりもっと中低音が強く響いていたので、本物をぜひ聴いて欲しいが、元気に越したことないです……

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