椅子に座ることを試みる

年末年始の区切りはあまり感じないのだが、年明けを過ぎるといよいよ誕生日が近づいてくる感覚はある。次の誕生日で20代の最終年を迎えるわけだが、それに加えて引っ越しで部屋がリセットされたということもあり、今、一つ挑戦しようと思っていることがある。それが椅子に座ることだ。

昔から椅子に座るのが得意ではなかった。部屋には一応勉強机がある生活をしていたはずだが、ひどいときは勉強机の下に潜って、地べたに座りながら椅子を机に書き物をしていた学生時代を送っていた。体幹が弱く猫背であり、その状態で身体が固まってしまっているがゆえに、いわゆる正しい姿勢をしていると呼吸がしづらくなることに加えて、伸ばした足がどうしても気になってしまい集中ができない。幸いにして放っておいてくれる職場で働いているので、オフィスでも椅子の上に体育座りをしている。

しかしながら、苦しみながら死にたくはねーなと、まぁそう思うのである。長生きしたい欲は一つもないが、痛いのはいやだ!断固として、いやだ! 

30を迎えそうになる今、この悪い姿勢を放置してよいものかと思っていたところで、引っ越さざるを得ないというイベントが発生した。部屋はリセットされ、機は熟した。そこで、えんじにゃー界隈でよく見かけたというWorkaholicに行って、椅子が嫌いであることをくどくどと話してきた。ただ、Workaholicに一度行ってみたいと思っていた、ともいう。

なぜか背中が地面と垂直にある状態が正しいと錯覚し、これまで背もたれと己の背中の間の余白を持て余していたが、椅子に体重を預けるのが正しい椅子の使い方のようだ。そして、椅子ガチ勢は体重をがっつり預けるために、背もたれを大きく倒すらしい。Workaholicは面白空間だった。椅子の座り方の説明を受けたあとに、名も知らぬ高級椅子座り放題の中に放り込まれる。とてもじゃないが、素人には見分けがつかないものが多く、そして座り心地がいいと思ったらさっきも同じものに座ったなと、そういうことが起こる。

chair

タオル地みたいなヘンテコな椅子にとても惹かれたが、ヘッドレストが高く、これを選ぶには身長が足りなかった。 

結局ErgohumanのEnjoy2という椅子(ネーミングにも大いに惹かれた)と悩んで、okamuraのBaronに決めた。Enjoy2のほうがサポート力を感じたので、姿勢矯正には向いていると感じたが、一方でBaronを選んだのはアームレストと背もたれの可動域の広さに可能性を買った形である。インターネッツの海をふわふわ回遊していると、ワークチェアでギターを弾くというケースや、低身長な人間がワークチェアを選ぶケースでBaronを見かけることが多く、正直行く前からBaronでは?と思っていたので、Enjoy2との邂逅こそ収穫だった。

他の支出とのバランスや現時点での給与水準を鑑みるととんでもない支出を決めたなと思ったが、何も姿勢改善だけにあらず、業務でそれなりにでかくて解決できていない課題にもっと本腰入れて向き合おうと思って買った。35年ローン組んじゃったよ……っていうのと規模は違えど似たような状況だなと思う。20歳になったときも、だから何と言って別に変わらなかったし、そんな感じでするっと三十路を迎える気はしつつ、ふわっとジェネラリスト的にここまできてしまったのが気になっているので、2年くらい専門性に向き合ってもいいなと思っている。三十にして立てるのか?

カスタマイズで注文したら届くまでに1.5ヶ月かかるらしい。せっかく今日、机の天板が届いてデスク環境の第一歩を踏み出したというのに、1.5ヶ月地べた族でいるのはもったいないので、とりあえずジモティーでつなぎの椅子をもらってきた。便利な世の中だ。しかし、こいつは背もたれの可動域が広すぎて、体重をがっつり預けると腰がめちゃくちゃ反るので、下手げな癖がつかないことを祈りつつ、少しずつ椅子に慣れていくリハビリ期間だと思って座り続けたい。すでにちょっと息苦しいんだけど、こんな初日で大丈夫か?w

この流れでいくと、「次回、分割キーボードに手を出す!」ですわな……(遠い目)

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